2015年11月30日月曜日

セッションについて




本日オフィスに出勤したら、引き出しからなにまで全部飛び出して書類やファイルがあちこちに散乱している状態。驚いて泥棒にでも入られたのか聞いたら、なんでも過去の資料を探すのにスタッフが自分でやったらしい。私が先週からこつこつ整頓してた所もぐちゃぐちゃ、、。ショック。そんな私をよそにスタッフはよくわからん冗談をいって爆笑しています。いつもこんな感じです。足の踏み場を何とか確保して一息ついたらおもむろに月例ミーティングが始まり(しかもスタッフ二人まだ来てない)そしてものの5分で終了。来週はナイロビのヘッドオフィスにアンニュアルミーティングに行くことになってます。しかしスタッフの一人から他のスタッフが皆乗り気じゃなくてあれこれ理由を付けて欠席しようとしてるという話も、、。交通費も馬鹿にならないしそもそも全員で行くほどなのか不明。

こんな感じでいつものんびり冗談ばかりを言っているスタッフもいざセッションで参加者にレクチャーするとなるとTEDさながらハキハキ活動しているので驚きました。(プロジェクトが再開して初のセッションに同行したときはスタッフのちゃんとやっている姿に感動さえしました。仕事なんだから当たり前だけどそれまでがあまりにのんびりモードだったため。)

という訳でセッションについて詳しく紹介しようと思います。
HIV/AIDsの予防啓発と一口に言ってもプロジェクトは以下の4つのセッションから成っていて
FMPFamily Matter! Program)親や保護者を対象に親子関係の築き方、しつけ、性に関してどう話し合うかなどをレクチャーするセッション
HCHealthy Choices)思春期の女の子を対象に、性行動や将来を考えたうえでの行動の仕方などを話し合わせるセッション
SHUGA 性に関するショートドラマを鑑賞して若者の性行動に関して注意喚起するもの
Condomolympic 何ともユニークな名前だけどその名の通りコンドームに関する正しい知識を得ようというもの。まだセッションに参加してないので実際の様子は不明。
Anti-Stigma HIVと共に生きる人々の差別撲滅を目的としたもの。
この他にもHTCというHIVの簡易検査をヘルスセンターのカウンセラーがコミュニティに同行して行っています。

今の所FMPHCを中心に行っていて、HTCも各地で行っています。
HCはまず初めに将来どうなりたいかとか、そのためには教育は重要だとかいう話をして、じゃあそれを妨げる障害となりうるものはなんだろうという所で女の子たちに意見を出させる流れで、たいていどのコミュニティでも「妊娠」「HIV」「早期結婚」「これらによる学校のドロップアウト」が出てくるので皆がこうした問題に対して自覚があるのは確か。
だけどのパートナーと同時に関係を持っているか聞くと、半数近くがイエスと答えるコミュニティもあったりと衝撃です。そしてほっとんど皆避妊してない。

大体一か所のコミュニティに二度訪問して二度目にはHIV検査をしているけど、セッションを通して打ち解けた女の子達の中からも陽性者は見つかっていて、痛ましいです。
先週訪問した地域でもHIVテストをして40人弱の女の子のなかから一人陽性者が出て、カウンセラーがその子と話すんだけど、まだ13歳でもちろんショックは受けてるし泣いていたけど、後からきた母親は全く受け入れる気無しで話し合いが難航しました。私もカウンセリングに同席させてもらったけど、母親の前で再度テストして確認しても納得しておらず、子供への話し方も突き放すような感じで、戸惑いました。これからその子がきちんと治療を受けていけるのか不安です。今回検査の機会は得られても、治療を受けるも受けないも、コミュニティのヘルスワーカーがもしかしたら声掛けをするかもしれないけど、最終的には個人の責任になってしまう。治療は無料で受けられるのに。

自分のステータスを知らない者、知ってて隠している者、知っていても治療を受けない受けられない者、そんな人が同士欲求に駆られてとっかえひっかえ関係を持っているというのを考えると、「予防」「感染者数の減少」の為には彼らの意思の変化が絶対に必要。
そもそも人々が男女関係とか性に対してどんな認識でいるのかを探るべく、最近ずけずけ質問している毎日ですが、それについてはまたアップしようと思います。

2015年11月22日日曜日

いつだってものは考え様





ある日の例。今日も農村のそのまた奥地でセッションを行い、レンタルしたバイクでスタッフとファシリテーターと自分とナンバレに帰ってきました。開始時間に遅れていると言いながらもまったりとお昼を済ませて、あまり焦るでもなく出発。なぜか借りたバイクが今にも崩れそうなレベルで壊れていて、毎回エンジンをかけるのに手こずり、一度ブレーキを踏むと止まってしまうというポンコツ(別のフィールドに向かったボスは一人なのに新しい方のバイクをシレっと乗って行ったため)にスタッフとファシリテーターと自分の3人乗り(基本ノーヘル)でトウモロコシ畑や森に囲まれた赤い土のでこぼこ道を進むこと50分。サトウキビを積んだトラクターとすれすれですれ違ったり水たまりやでこぼこにはまりそうになるたびキャーキャー気が気じゃない私に「ッハーハ!これでもゆっくり走ってる方だよ。」といたって陽気なスタッフ。
4つのグループにセッションを終えてくたくたになりながら何度も止まってしまうポンコツバイクと道ばたで立ち往生しながらでこぼこ揺られる帰路、さすがに「はあ、、」とため息を漏らしそうになったときに、スタッフが「もし今雨の中だったらと想像してみろ?雨じゃないだけでも神様に感謝するよ。今日はほんとにラッキーだな!ハッハッハー!」という感じで最強に明るいので、相変わらず全身土埃まみれになりながらもなんだか自分まで「たしかに今日はすごいハッピーな日なんじゃないか。セッションもうまくいったし。夕日はきれいだし。」とバイクに揺られながら思い直したりするのです。どうせ単純です。
セッションでも参加者を巻き込むのがうまい話上手なスタッフなので、都合よく丸めこまれてるような気がするときも有りますが、、。

次の瞬間には雨が降るかもしれなくても、今はくよくよしないで明るく考えようという人々の逞しさは見習いたい所です。

小さなことから





到着当初はドナーからの資金が途切れていてセッションが行えない状況でしたが、無事資金がおりて、今週から約一か月ぶりにプロジェクトが再開しました。
そんなわけで手持無沙汰ながらもさほど気にしていないのんびりモードのオフィスに戸惑いつつあった先週までとは打って変わって今週は土日も返上で毎日ブシア内のあちこちに出かけていってセッションを行うという忙しい毎日です。


HIV/AIDsについて
ケニアの平均寿命は48歳前後と日本の85歳前後というデータと比べるとほとんど半分の長さ。もちろんこの数字には乳幼児死亡率のなどが影響していて、あくまでも平均であるわけだけどHIV/AIDsはまだまだアフリカやアジアの途上国を中心に感染者死者ともに多く、国が取り組む課題の一つとなっています。
現在ケニアはUNAIDS(国連合同エイズ計画)が定めるHIV/AIDsに対して特に活発な取り組みが必要とされるサブサハラアフリカの21か国(21 Global Plan Priority Countries)の一国であり、ケニアも国を挙げて様々なプロジェクトに取り組んでいます。2013年のデータによると国内の感染者数は160万人、全人口に占める感染者率は6.04%。毎年10万人の感染者が新たに報告されています。ナンバレオフィスのフィールドであるブシアの感染者数約2万人、感染者率は6.8%と47カウンティ中9番目という高い数値です。

現在行ナンバレオフィスで行われているプロジェクトは思春期の子供や妊婦の健康管理をサポート、HIV/AIDs予防啓発・感染者に対する差別撲滅を主な課題としています。
具体的には各コミュニティに出かけて行って、予め研修を受けたファシリテーターとオフィスのスタッフが主となって健康・性・家族などについてのレクチャーを行います。

そうはいっても簡単にいくことばかりでは無く、基本各集落レベルで移動から参加者集め、セッションの運びに至るまで行うので課題も多くあります。
セッション実施フィールドまでは乗合バンマタツを使うこともあればスタッフ自らレンタカーの要領でバイクを借りて向かう時もあり、多くのコミュニティにはマタツが乗り入れていないのでバイクで道なき道を土埃になりながら向かいます。雨に降られれば時間通り到着できないこともあるし、そもそも参加者がきちんと来ない時もあります。
参加者集めは各コミュニティ内のモビライザー(呼びかけ係的な人)が主となって行いますが事前に決めたとおりのグループをきちんと当日集めてこられる真面目な人もいれば、全く人を集めてこないモビライザーも稀にいます。(その割に手当だけは要求してくる、、。)
開催場所もコミュニティ内の学校や公民館や教会などで行える時も有れば、道端に椅子を並べて行う時もあったりと様々です。
その他セッションを補佐するファシリテーターも個人によって能力にバラつきがあり、各回でセッション内容に差が出てしまうのも事実です。

その他各地でボランティアによって行われているセッションでを監督するのもADEOの役目ですが、どうやって把握してるかスタッフに確認すると「俺の頭の中に全部入ってるからノープロブレム。」という感じで、基本会計以外(会計もちょっと怪しいけど)の手続きは徹底してないので、こうした小さいいい加減さが積み重なって、全体的な緩さにつながっているのを感じます。
なら小さなところから一つでも、と思ってオフィスの隅の書類の山を整理し始めました。保健・栄養教育のマニュアルや書類の山を崩していくとなぜか干からびた食べかけのトウモロコシがでてきたりしますが。

気性の激しい私ですがイライラしたり落ち込んだりしていても、周囲の圧倒的なポレポレ精神(スワヒリ語でゆっくりゆっくりいこうよ)の前になすすべもなく、ちょっと前より変な焦りもなくなって少し落ち着いて向き合えるようになってきたように思います。

2015年11月18日水曜日

ハネムーンフェーズ





時の流れが速いのか遅いのか、ケニアでの生活も一ヶ月。雨季がほぼ終わり、気候が変わりつつあります。これまで少し蒸し暑いなぐらいにしか感じなかったけど今週に入ってオフィスでもかなり暑さを感じます。周りは皆黒人なので日に焼けてる自覚が無いけど、真冬に黒く日焼けして帰国することになるとおもうと不安です。
そんな気候の変化と共に精神的にもいわゆるカルチャーショック理論の第一段階「ハネムーンフェーズ」も終わりに近づいているのを感じます。第二段階がなんだったか忘れたけど「ハネムーン」よりハッピーじゃないのは確かです。
ここまでは色々受け入れてポジティブに過ごしてこられたけど、日々の生活に慣れつつあり、到着したころには感じなかったことや見えなかったものがだんだん見えつつあります。正解は無いんだろうけど、現地の人々との距離感の取り方の難しさみたいなものより感じるようになりました。

お金貸してとか、ご飯おごってとかはやっぱりよく言われます。受け流すのに慣れてきたつもりだったけど、割と人格者だと思っていた人にある日かなり酔いが回った状態でお金貸してくれと言われたり、毎日欠かさず同じホテルのスタッフから顔を合わせる度に「何か持ってきてくれた?」と言われると、少しうんざりしてきました。友達として電話番号を交換しようぜと交換したらそのまま端末送金システムで私のケータイから自分のケータイにお金を送ろうとしてたりして「おいおい」と。仲良くなれたと思ったのにちょっとショックでした。
現地と生活を共にしているので周囲の人と近い距離で、親しくもなれるけれども、結局私のようなアジア・欧米人=お金なのか、と感じることもしばしば。
別に200300円をケチってるわけじゃなくて、自分が普段如何に簡単に人を信じやすく、他人に対して思い込みや勝手なイメージをもって独りよがりになっていたことが多かったかに気付きました。誰かと信頼関係や親しい関係を築くことの難しさを日に日に強く感じます。

こういうアフリカの貧しい地域に、例えば大学の研究チームや外国組織の援助プログラムの一員として団体でくる場合と、今回のように一人で現地に受け入れてもらう場合では関係性の築き方が違うというか。自分と同じ肌の色で、比較的同じバックグラウンドをもっている構成員が居る団体として現地で関わる場合、調査団と調査対象、支援団体と受益者達、と冷静にとらえられる面が少なからずあるように思います。
これまで短いながら参加してきた大学でのボランティア団体を通しての活動は、基本的に参加者達と団体で活動していたので、良くも悪くも悩みを相談したり目標を共有する場があったけど、今回一人で現地に混ざることで、精神的にも、活動内容的にも難しさを感じて、いままでぬくぬくした環境でやっていた事を痛感。
一人だからこその現地との距離の近さだけれど、お互い親しくなってきたからこそ、やっぱり違いもはっきり見えつつある、、と、なんだか一か月前と反対のようなこと言っているような気もしますがまた一か月後には全然違った印象をもっているかもしれません