2015年12月30日水曜日

クリスマス





更新がかなり滞っていましたが元気です。オフィスは未だに仕事が残っていて年末ですが全員出勤です。ファンド分は年内にプロジェクトをやりきらなければならなく、やはりドナーに左右されるのがNGO。個人的にはクリスマス前にスーツケースが盗まれるという珍事件に見舞われて、バタバタしていました。こんな話は更新しなくてもいいかもしれないけど、もともと研修日記というか生活日記みたいになってたのでその流れで更新しようと思います。

肝心のスーツケースにはパスポートをはじめと知る貴重品すべてが入っていてさすがに焦って半泣きでサロンのマダムからバイクドライバーまで町中の顔見知り達にスーツケースについて尋ねまくった為、あっという間にナンバレ中に広まってしまい、アクシデントから一週間たった今でも市場や道端のいたるところで「ポレポレ」(どんまい的なニュアンス)と声をかけられる日々。

オフィススタッフ(もはや5人中2人は出勤してなかった。)も全員風の速さで駆けつけて「こういう時こそADEOが一つになるときだぜ。ドヤ」と。数名は間違いなく面白半分っぽかったけどこの時ばかりは本当に助かりました。仲良しの仕立て屋のマダムから受け取ったばかりのドレスも取られてしまって嘆く私に「違法滞在者だ」とか、「ついにケニア人と結婚してブシアに居すわれ」とか相変わらず冗談は忘れないオフィススタッフ達に囲まれてると自分も笑わざるを得ない、、。
初ケニアポリス、初ポリスカー、初取り調べでてんやわんやしていましたが何とか落ち着きました。

警察が真っ先に疑ったのが私が親しくしていたホテルのボーイだったのでいやいやそんなまさかと思っていましたが、「一番親しいひとこそが一番の容疑者」とケニア人が口をそろえて言うので、深刻な人間不信に陥りかけました、、。
それでも相変わらず同じホテルに泊まり続けてのんきにスタッフと一緒にチャパティなんか作っちゃってる自分はやっぱり甘いんだろうなーと思います、、。

ご心配をおかけしたADEO(現地もジャパンも)の皆様と家族、連絡をくれた友人にお詫びします。残り短い研修生活ですが、無事やり切れるよう努めようと思います。


2015年12月17日木曜日

女の子の話



なんでスカート履かないのとよく聞かれます。
街中ではパンツ姿の人も多いけど、ブシアではたとえ足元はサンダルだったり裸足だったりしてかなり貧しそうに見えてもほぼ九割方女の子はスカート履いてる。聞くところによると、男性の前では女の子はちゃんとスカートを履くべき、という父親、男性への尊敬を示すという古い習慣は未だに残ってるんだとか。女性は女性らしくということか。
その延長としてという訳ではないけど子供として、女の子としてより「女性」として、一人の「人」として扱われている印象で、皆見た目も振る舞いも、歳の割に大人びています。2歳の子をおんぶして歩いている5歳の女の子の表情が明らかに日本の5歳の子供の表情とは違う。子供らしくない落ち着きがあるというか。自分なんか22歳になってもまだ子供みたいで、近所のお母さんに12歳といわれています、、。
アフリカの女の子は成長が早いと良く聞くけど、ほんとにそうだと思います。
そして早期結婚や結婚できるならまだいいけど、学生妊娠や学校中退、性関係に関しての知識不足からのHIV/AIDsの問題は、彼女たちの早熟さと必ずしも無関係とはいえないなと彼女たちの姿を見ていて思います。こうした予期せぬ妊娠や子育てといったことが特に女の子に負担を強いていることも、ADEOが今年から女の子を中心としてセッションを行っている理由です。

そもそも実際の行動と、男女はこうあるべきみたいな文化的風習とのギャップが大きすぎる気がする。例えば、こんな環境なのに婚姻関係おいては古くからの慣習みたなものが残っていて、女性にきちんと教育を受けさせ、これまで育ててくれた感謝を示す意味で男はダワリーという結婚税(平均牛5頭+ヤギ2頭+そのたもろもろ現金、、)を女性の両親に支払わなければならなかったり。「女は結婚するまで男性と関係を持たないというのが決まりだから私は彼氏がいたことない。」みたいなことを言ってる若い子もいたりするけど絶対嘘でしょって感じです。

男女関係のことをよく聞いてるけど、しっかり子育てしているような母親も避妊具は使わずピルを服用していて、夫婦なら普通だけど、「夫は他に浮気相手がいるかもしれないわね。」とあっさり言われた。(実際結婚していようがいまいが複数の女性と関係持ってる男性はここではかなり多い。)その浮気相手がHIVを持ってたら彼女が感染する可能性だってあるわけで。
浮気されていいの?ときいても「だってしてるかしてないか、どうやって知るの?男は皆そんなもんよ。」と大抵返されます。うーん、、。ケニアでは一途な男性を見つけるのは間違いなくかなり難しい。
でも女性が虐げられてるという訳じゃ全然じゃなくて、商売でもなんでも、男性と対等に渡り合っているし、(ADEOもナイロビ・ブシアオフィスどちらも女性スタッフが多いし、顧問委員会的なグループのメンバーにも女性がきちんと入っている。)いたって逞しいのです。強くたくましくどっしり構えていてる女が多いから、男がおおらかで自由気ままなのか、男の呑気で移り気な所が、女をそうせざるを得ないのか、、。
やっぱりジェンダー的に女性寄りな文になってしまったけど、社交的で明るい所がケニア男子の魅力だと私もケニア女子も認める所だし、そんな彼らにたくさん励まされたのも事実です。(フォローになってないか、、)


2015年12月13日日曜日

汚職に負けない




 Anti corruption

汚職汚職、ニュースでも評論家は毎日汚職について嘆いていて、新聞でも汚職、道端の食堂でも皆「汚職汚職」。ケニア人は議論するのが好きだけど、どんな問題でも話していくと大体汚職のせいだで落ち着く。汚職が蔓延っているのは本当だし、政治が変われば国も変わるけど、どこか皆、なんでも汚職のせいにし過ぎている気がする。
自分たちが貧しいのも汚職で国の制度がきちんと機能しないせいだからしょうがない。それはその通りだけど、それだけじゃないんじゃないか。(NGOで研修していてこんなこと言っていたら叩かれるかもしれないけど。)

汚職とは何か。どこからが汚職か。

なんだか遠回しな導入で、何が言いたいんだよという感じですが、不正の大なり小なり、公務員だったりそうでなかったりしても、不正を犯しているのは政府だけじゃないんじゃないかということです(日本語で汚職は公職の不正に限って使われる模様。)。

直接お金をどうこうということではなくても、オフィスワーカーが報告書のデータを少し誤魔化すとか、酪農家が牛乳を水で量増しして露店に仕入れさせてるとか、仕入れるお店側もそれを知らないわけではないとか。

誤魔化すのが普通だから、ある程度相手が誤魔化してるということを考慮しちゃってるし、小さい所を真面目に追及していたら彼らの社会はまわらない。こうしたいい加減さをお互いに容認しあうから成り立つ仕組みがここケニアでは末端まで(むしろ末端に行くほど?)出来上がってしまっているような気がします。

そして誤魔化しが入ってても入ってなくても、そういうデリケートなお金や契約関係のやりとりを子供や受益者(ADEOのプロジェクト実施中もそうだった。)の前で平気ですること。こんな環境で育ったら良くも悪くも子供はしたたかにふるまう術を学ばざるを得ないと思うと、現地の子供たちの年の割に大人びた姿にも納得してしまいます。子供は子供らしく育てられる日本に比べると、ここでは子供だろうと容赦しない。

こうしたことの延長といったら言い過ぎかもしれないけど、最近のオフィスについて。1年間の総まとめというべきミーティングがナイロビで行われることになっていて、一応ブシアオフィスからも報告者が出席しなければならないのに、スタッフ皆あれこれ理由を付けて行きたがらず、グダグダしていたここ数日。
欠席理由も「カレッジの試験だから」(こっちでは仕事をしながら授業を取ったりするのが普通で、県政府に学費の補助も申請できる。)と言っている割に当初ミーティングが行われる日程だった日には普通にオフィスに来ている。改めて日程が別の日に決まったら、今度はその日に試験が有るから無理とか言い出す始末、、。(ちなみにオフィスに来ない日でも出勤リストは毎週月~金8時間フル出勤したことにして申請してるし。)

「お前が行け」「俺は無理」ばっかりでいつまでも決まらず、「プロジェクトを主立って担っているわけでもないので自分じゃ無理」と言っている女性スタッフと「短いパワポをプレゼンするだけだから誰でも大丈夫」というボスと「俺はカレッジの試験がある。」と言い張るその他スタッフでもめて、結局勤続2年ちょっとの女性スタッフ(ミーティング初参加、そもそもヘッドオフィス訪問自体初)と私二人で行くことに。
別にたいしたミーティングにならないかもしれない。(まあアンニュアルミーティングだからそれなりに重要なはずだけど!)ただ納得できないのはボスや他のスタッフが参加しないこと自体ではなく、そこまでしてバックれたいのかというか、これくらいの事に対してすら責任感を追う気が無いのかという所であまりに呆れてしまい、最後までゴタゴタ言ってはっきりしないスタッフにさすがに「責任感は無いのか」とキレてしまいました。それでも「佳子、なにをそんなに怒ってるんだ?」という調子で目そらしてケータイいじりながらごまかすからケータイ外のトウモロコシ畑に放り投げてやろうかと。そしてものの二分後にはケロッとして冗談を言ってくるからもう完敗です、、。

へらへらしながら逃げるように帰っていった居残り組スタッフ達を見ながら、急にオフィスを代表して出席しなければならなくなって途方に暮れている女性スタッフの
“They are too corrupt.” 
がその日の名言(謎言?)となりました。これは今回の適当っぷりだけでなくてこれまでのプロジェクト運営におけるもろもろの誤魔化しやいい加減さを含めてのcorruptと受け取りました。
いつものんびりな彼女が柄になく深刻だったけど、漂うシュールさについ笑わずにはいられず。

そんな訳でナイロビ出張となりました。私自身は新規のプロジェクト計画には至っておらず、研修生として現在のプロジェクトの様子をまとめたコンパクトなレポートを用意してたけど、スタッフのあまりの無責任さに気が変わって、この二か月で気付いた問題点や疑問点についてもやんわりと報告しようと急遽資料を書き直してます。
問題をなんとなく隠して誤魔化して受け入れる流れに慣れてしまえばそれまでだし、正直そうなりかけてましたが、ここは一つ抵抗してみようと思います。

2015年12月9日水曜日

教育・啓発について





教育・啓発のプロジェクトがどれだけ本当に人々にインパクトを及ぼせるかについて考えています。
現在はプロジェクトのターゲットは、保護者を除くとほぼ女の子に絞っていて、だいたい1220歳。セッショ中は皆かなり集中して参加してるし、意見もポンポンでてくる。なかなかこういうトピックに対してズバッと大人から話を聞く機会は無いようなので、セッション自体は新鮮みたいだし、全く効果がないわけではないだろうけど、プロジェクト自体が果たしてどれだけ参加者の意思決定や行動の選択に本当に影響するかを考えると、手ごたえみたいなものは中々得にくいように思う。特に教育や啓発という目に見えないものの効果は尚更。
AIDsにたいしても陽性者が身近だったりそうした陽性者がどうして感染してしまうかについての認識はあるのに行動が変わらないのは何故なのか、、。
発症の原因の多くは性交渉によるものだろうけど、若者の場合カウンセリングをしてても本当の事を正直に話さないことも多く、原因ははっきり分からないケースも多いとのこと。彼女たちの内のどれだけがセッション後に行動を変えるんだろうということを考えると教育というものの難しさを感じる。国際機関や保険組織が発表する数字やデータの裏にある、男女関係やHIV/AIDsに対する彼らの認識・考え方を知ることも重要ではないかと思います。

なので最近ブシアの人たちにそういう話をきいています。といってもデリケートな話題なので難しいですが、日本人と比べるとこっちの人はかなりオープンなので少しずつですが彼らの考え方を知りつつあり、どちらかというと性に関するところでは開放的でない日本と比べるとかなり認識や有り方がかけ離れているなと感じます。

ここまで一応ブログだから頑張って言葉を選ぶように気を付けて書いているけど、要はプレイヤーが多く(圧倒的に男子が多いけどそういう関係を気にしない女子も結構な数いる)、コンドームは全然使ってなくて、まあそれは普通だし、HIV/AIDsに対しても問題意識はあるけど「まあなってしまうときはなってしまうものだし」っていう空気があるってことです。

そんな中で初対面の大人に色々もっともそうなことを言われたところで、彼らが行動を変えるには至らないだろうなというのが実際の所です。

たとえば親が厳しくて「結婚はまだ早い!」といつも言われて過保護な親に不満は言いつつもリスクを考えたりすることが出来ている子も同じコミュニティ内にいます。
やはり彼・彼女達が育ってきた家庭環境や受けてきた教育(と教育を取り囲む環境)によるところが大きそうです。

ケニアだから、途上国だからいずれ国の発展と共に減っていくのか、それを待てば良いのかとは言い切れないし、日本でも地方の方が都市部に比べて妊娠や結婚が早かったりする傾向はまだ多少あると思いますが、何か劇的に行動ることは出来ないのかなと思います。